小さな会社の退職金は中小企業退職金共済が便利

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小さな会社の社長さん、退職金の準備はできていますか?

うちの会社では、役員扱いとなる代表社員は小規模企業共済、パート社員は中小企業退職金共済を活用して、退職金を積み立てています。

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中小企業退職金共済

中小企業退職金共済(中退共)は、中小企業の事業主が従業員の退職金を計画的に準備できる、国の退職金制度です。

掛金は全額が会社の損金

掛金は5,000円から3万円の範囲で、16種類から従業員ごとに選択できます。
全額を会社または事業主が負担し、口座振替で納付します。会社では税法上の損金、個人事業主は必要経費として全額非課税となります。

うちの会社の場合、妻に月額3万円を掛けています。これは、年間36万円を自動で積立貯金しているようなものです。しかも妻の所得にも加算されず、会社の損金にできるため節税にもなっています。

掛金の助成制度

初めて加入する際には、加入後4カ月目からの1年間、掛金の2分の1(従業員ごとに上限5,000円)を国が助成してくれます。さらに掛金を増額した際には、その月から1年間、増額分の3分の1を国が助成してくれます。
ただし、家族従業員(同居の親族)のみの加入は助成の対象外になります。

また地方自治体によっては独自の助成制度を設けている場合もあるので、加入の際には確認することをおすすめします。

3年7ヶ月以上で掛金を上回る退職金

従業員が退職すると、中退共から従業員に直接退職金が支払われます。
ただし掛金納付月数が1年未満の場合は支給されません。1年以上2年未満では掛金相当額を下回る額、2年から3年6カ月で掛金相当額となり、3年7カ月から掛け金相当額を上回る額になります。

基本退職金+付加退職金

中小企業退職金共済の退職金は、基本退職金と付加退職金の2階建てになっています。

  • 退職金=基本退職金+付加退職金

基本退職金は、掛金納付月数によって金額が定められていて、掛金と予定運用利回り1.0%の運用益があてられます。

うちの会社の場合、夫が定年を迎えるまでの27年間働いたとして、掛金総額は972万円、基本退職金は1119万8,700円になります。

付加退職金は、運用収入の状況等に応じて金額が定められます。掛金納付月数の43カ月目とその後12カ月ごとの基本退職金相当額に、厚生労働大臣が定めるその年の支給率を乗じた額を、退職時まで累計した総額が基本退職金に上乗せされます。

一括でも分割でも受け取れる

中退共の退職金は、「一時金払い」でも「分割払い」でも「併用」でも受け取れます。一時金として一括で受け取る場合は「退職手当等」に、分割で受け取る場合は「雑所得」になり、税法上の扱いが異なります。

一時金で受け取る

一時金で受け取る場合は、基本退職金だけで1119万8,700円です。これは退職所得になるため、税金がかかります。ただし退職所得には、勤続年数によって退職所得控除があります。

  • 勤続20年以下 40万円×勤続年数
  • 勤続20年以上 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

勤続27年での退職所得控除は1290万円なので、付加退職金を加えてこの金額までなら、中退共から退職金で受け取る全額が控除されることになります。

分割で受け取る

年金のように分割で受け取る場合は、基本退職金だけで5年分割で3カ月ごとに57万1,134円(税引後支給額52万7,400円)、10年分割で29万1,167円(税引後26万8,871円)です。

分割の方が総額の返戻率は上がりますが、雑所得として税金がかかるため支給額で比べるのがよさそうです。